環境ラベルに隠れた市民意識の真実
今年10月、インターネット経由の小売業で世界トップクラスのシェアを誇るamzonが新しい取り組みを開始した。

Amazon(所在地:東京都目黒区)は10月23日(水)、「Climate Pledge Friendly(クライメイト・プレッジ・フレンドリー)」プログラムをAmazon.co.jpおよび法人・個人事業主向けEコマース「Amazonビジネス」で開始しました。このプログラムにより、お客様がAmazonでお買い物をされる際、リサイクル素材や有機素材を使用した商品、類似商品と比較してエネルギー効率の良い商品など、第三者機関によって認証されたサステナブルな特徴を持つ商品を見つけやすくなります。
引用: amzon news room
要はサスティナブルな製造・販売を証明する第三者機関の認証ラベルをつける事業者の商品が見つけやすくなるというシステムだ。これにより買い物をする際に環境配慮を意識する消費者がよりスムーズにそういった製品を見つけやすくなる。
一見、画期的な企画のようにも思えるが、一度立ち止まり考えてみたい。
環境ラベルとは
そもそも環境ラベルとはなんだろうか。
環境ラベルとは、商品やサービスがどのように環境負荷低減に資するかを示すマークや目じるしのことだ。製品や包装などについており、環境負荷低減に資するモノやサービスを買いたいときに参考になるとされている。環境ラベルには3種類あり、各国の代表的標準化機関から成るISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)によって分類分けがされている。
事業者の申請に応じて審査したのち、第三者機関による認証をもとに使用が認められる「エコラベル」。
事業者の自己宣言による「自己宣言環境主張」。
そして最後が、製品の環境負荷の定量を測定してそのデータを開示する「環境製品宣言」だ。
amzonで差別化されているのはここでいう「エコラベル」に関してのみだ。
環境省の「環境ラベル等データベース」というページを見るとわかるが世の中にはたくさんの環境ラベルが存在する。皆さんはいくつ思い浮かべることができるだろうか。
きっと知らないラベルも多いのでは…
ここに環境ラベルに根付く「真実」がある。
グリーン・コンシューマーの存在
皆さんは「グリーン・コンシューマー」という存在を知っているだろうか。
グリーン・コンシューマーとは購買行動の中などで、環境に配慮された商品や、環境問題に取り組む企業の製品を選択し、地球環境の改善や、より良い社会の実現を目指す消費者のことを指す。
そこで皆さんに問いたい。あなたはグリーン・コンシューマーだろうか?もっと言うとなりたいと思うだろうか?
例えば同じデザイン、同じ品質のtシャツがあったとする。一方は環境に配慮した生産工程で価格は1枚5000円。もう一方はそういった記載はなく2500円。
さて、どうだろう。
「環境にやさしい製品の購入を心がけている」と言う人はいるかもしれないが選択した製品が他社の製品に比べ高い価格でも手を出すかと言われたらほとんどの人が手を出さない。これが現実だ。
そう、圧倒的に日本は環境に対する消費者意識が低いのだ。海外では環境に配慮しない製品は需要が下がり市場から必然的に排除されることもある。
日本人の意識が低いと感じただろうか。
しかし私はもう一つ原因があると思う。それは日本人は他の先進諸国と比べると所得の上昇率が低いと言うことだ。失われた30年。日本の賃金は上がってこなかった。そして今、急激な物価高で生活が苦しい。生活するのにやっとと言うのに環境どうこうなど言ってられない。意識がある程度高い人であれば、生活に余裕があるのならグリーン・コンシューマーになれるかもしれない。
何はともあれ、とにかく日本にグリーン・コンシューマーは少ない。
環境ラベルの存在意義
さて、話を環境ラベルに戻そう。
企業はなぜここまでして環境ラベルにこだわるのだろうか?企業が環境に配慮した取り組みを自発的・積極的に行うほど、費用負担は大きくなる。文房具などに着いている「エコマーク」を例にとってみよう。
審査する製品1つあたり審査料が22,000円。その後、その商品の売り上げが5000万円だったとしよう。エコマークの使用量は別途82,500円かかる。企業の生産規模だとピンとこないかもしれないが、文房具を買う人たちが「エコマーク」をみているか想像してみるとこの値段は決して安くない。
ではなぜそこまでして企業は自発的な情報開示に努めるのだろうか。もちろんステークホルダーの存在が大きいだろう。ESG投資家など最近よく耳にするが株主や金融機関、消費者団体の目を無視して事業を行うことはできないだろう。そもそも、企業は共有資産である「環境」を消費し、負担をかけている。そう言った意味ではステークホルダーに必要な環境情報を提供しなければならないのは当然だ。しかし企業の商品やサービスを買うのは消費者だ。ならば、消費者にも責任がある。エシカル消費というが、そもそも環境に配慮した消費者行動は当然なのかもしれない。
前文でも述べたがエコラベルの数はかなり多い。「たくさんありすぎてわからない」という声も聞こえてきそうだ。多くの環境側面を一つの物差しで評価できる基準がないためここまで増えた一面もあるだろうが、消費者を困惑させてしまっては本末転倒だ。それ以上にラベルを気にもしない人が大半だ。まずは消費者意識の改訂が必要ではないか。
「企業には環境に配慮しろと言いつつも、自分たちは何もしない。」これが日本国民の傾向だ。環境問題の改善は大切なことだとわかっていても自分のお金が絡むとアクションできない。結果、エコラベルの種類が増え、複雑になったり本質的な効果を発揮しなかったりする。
Climate Pledge Friendlyは画期的で素晴らしいとは思うが、外国に比べると環境に対する消費者意識が顕著に出るかもしれない。
これを機会にあなたも「エシカル消費」について考えてみてはどうだろうか。企業から開示された情報に「反応」することが消費者にできる意思表示だ。自分も買い物という行動を通して、消費者という立場でエコラベルを有効活用していきたい。



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